大学キャンパス内には多くの樹木や草本を目にすることができます。それらの植物の中には、毒があったり、刺があったり、葉縁が鋭かったりして作業を行ううえで注意を要するものがあります。それらの植物について説明します。
かぶれる植物:ウルシの仲間 (写真はWikipediaによる)
ヤマウルシ:全国至る所に生育。奇数羽状複葉。秋の紅葉は真っ赤で美しい。
ツタウルシ:ツル性の木本で気根で樹木に這い上がる。三出複葉で秋には真っ赤に紅葉する。
ハゼノキ:実からロウをとった。奇数羽状複葉。秋には美しく紅葉する。
ヌルデ:大学構内でもよく見る。奇数羽状複葉で葉身に翼がある。紅葉が美しい。
毒性はツタウルシ、ヤマウルシは強いがハゼノキやヌルデはそう強くありません。体質により、アレルギー反応を示す人もいれば、そうでない人います。また、毒性は春の芽吹きの時期に強く、秋の紅葉の時期には衰えます。
刺のある植物 (写真は「松江の植物図鑑」による)
大学構内には作業をやっていると、刺があり触ると痛かったり、場合によっては怪我をする植物があります。草本では代表的なものにイラクサやワルナスビが、木本ではノイバラやキイチゴがあります。
イラクサ:刺草と書く。茎や葉の表面・葉柄などに触ると鋭い痛みがある刺毛を持つ。刺毛は維管束にまでも入り込んでいて、毛様体とよばれる。先端部分は針になっており、基部にはヒスタミンとアセチルコリンを含む液体が入っている嚢がある。この液体には毒があり、棘に触って胞嚢がやぶれ、液体が皮膚につくと強い痛みを感じる。薬草としても利用される。
ワルナスビ:ナス科の多年草の外来植物。草本全体に刺がある。葉・茎・果実にも毒を含み繁殖力が旺盛。ナス科の多年草。毒成分はソラニンで、ジャガイモの芽に含まれる成分と同じ。間違えて摂取すると頭痛、嘔吐、胃炎、下痢、食欲減退などを起こし、最悪の場合稀に死に至る。槇の富太郎博士が認め、「悪茄子」と命名。
ノイバラ:どこででも見ることができる。葉は奇数羽状複葉で、茎に硬く鋭い鍵型の刺を対につける。花は白く美しいが、ノイバラの処理をする時には刺を刺さないように注意を要する。
キイチゴ:キイチゴの種類は多く、モミジイチゴ、ナワシロイチゴなど大学構内でもよく目にする。刺はノイバラと比べると小さいが、刺さると痛い。果実は食すことが出来るものが多く、写真のモミジイチゴは熟すと橙色に色づき美味しい。
アメリカオニアザミは固く鋭いとげを持っており、うかつに触ると危険なため、注意が必要です。繁殖力が強く、その土地にもともとあった植物の生息場所を占領する可能性のある、【生態系被害防止外来種】です。地域の自然環境などに被害を与えないためにも、駆除する必要があります。
これらの植物の刺が刺さったりした場合には刺を抜き、傷口を消毒しておくようにします。
その他の植物 (写真は「松江の植物図鑑」による)
大学構内には今まで述べた植物の他に、葉縁が鋭い刃のようになっているイネ科の植物が多く生育して、作業中には皮膚を痛めることのないように注意が必要です。また、葉縁は鋭くはありませんが、大学構内には、ヨウシュヤマゴボウとよばれる根がヤマゴボウの根と似た外来種の非常に毒性の強い植物が生育しています。いくつかの植物について、それに因む話も含め紹介します。
ススキ:イネ科。ススキを刈り取るのは容易ではないが、その葉は細く、長く葉の縁は、剃刀のように鋭くなっていて、手や顔を傷つけてしまうことがある。オギと比べると次のような特徴がある:根茎が短く根元から多数の茎がまとまって出る。どこにでも生える。穂の色がオギより暗い。ノギがある。穂全体がオギよりゴツゴツし他感じがする。
オギ:イネ科。オギもススキ同様鋭い葉縁の葉を持っている。刈取の時は注意が必要である。しかし、ススキと比べると何となく品がある。茎は根元から固まって出ない。横に伸びた根茎から1本ずつ茎が出る。どちらかというと湿った所に生育する。穂の色がオギより白い。ノギがない。穂全体がススキよりふっくらとした感じがする。
クマザサ:イネ科。葉縁は鋭い。京都原産といわれ群生する。山林に自生し、名は緑色の葉の縁が白く隈取りされることによる。秋から冬になると、水揚げが悪くなることから水分の消費を抑えるため、葉縁や先端を枯らしていくことから白い隈取りが生ずる。民間療法では葉に防腐・殺菌作用があり各種ビタミンが豊富に含まれて薬効のある植物とされる。
ヨウシュヤマゴボウ:洋種山牛蒡。ヤマゴボウ科の北米原産の外来種。大学構内に沢山生育している。植物体全体に毒があり、特に実と根の毒性は高い。食べると 腹痛・ 嘔吐・下痢を起こし、場合によっては延髄に作用し、痙攣を起こして死に至る。 皮膚に対しても刺激作用がある。実は黒く熟すと美味しそうであるが、絶対口に入れてはいけない。