樹木の伐採などに使用する用具類と伐採方法


1. 鋸・チェンソー・ロープなど

鋸については、剪定・刈込の項目でも少し述べました。樹木の伐倒、板や柱を引くことや非常に繊細な技術を要求される木工にまで使用され、多様な用途に対してそれに見合った種類の鋸が作られています。ここでは、植樹会の活動で、幹径が25cm前後の樹木で、小木ではない樹木を伐ることを頭に入れて話をします。

  1. 鋸−中鋸:細い樹木を除いて、樹木の伐木を行うのにはより刃渡りが長く厚いしっかりとした鋸を使用します。伐木で使用する鋸は、伐り倒した樹木の玉切りにも使用されます。後程、樹木の伐倒の仕方で述べますが、法令で規制を要する径をもった木でなくても、原則論に従った伐倒手続きに従って木は伐ります。
  2. チェンソー:樹木の伐採には鋸の使用方法に習熟することが必要です。一方、作業を効率的、機動的に行うためにチェンソーを使うこともできます。植樹会でも、作業参加者を限定しながら、チェンソーを使用する作業も行います。チェンソーにはエンジン式と電動式とあり、電動式についてはコード式と蓄電池方式があり、植樹会では充電式を使っています。
  3. スリングベルトやロープ:伐倒する樹木を伐倒方向に適切に倒すための補助用具として使用します。

伐採用鋸

エンジンチェンソー

滑車・スリングベルト

麻ロープ




2. 樹木の伐採方法

伐採作業は、安全管理上リスクが軽減される場合を除き、定例作業や多人数の参加者がある作業では実施しません。植樹会で取り扱う対象木は、他の樹木や建物に架かる可能性のない樹木で、胸高直径20cmを一つの目安とします。状況により、枝張の状態、周囲の樹木との関係等を見ながら適宜対処します。

  1. 対象木の決定:伐採する樹木を決め、避難場所の確保などその周囲の整備を行います。
  2. 伐倒方向の決定:伐倒方向を重心や周囲の樹木の状態等を確認して決めます。大学キャンパス内の樹木は広葉樹が多く、樹木の重心を確認するのに難易度が高いため、重心は一人で確認せず複数人の意見を聞いて行うようにします。
  3. 受け口を切る方向などの決定:受け口を切る方向と伐倒補助のためのロープを引く方向を決めて、伐倒補助用のロープをかけます。
  4. 安全確認:作業を開始する時には、伐倒方向の真正面を中心にして前方左右120度の範囲に人がいないことを確認します。
  5. 作業開始の合図:伐倒開始と受け口を入れる予備合図を行います。受け口が完成したら、避難確認を行い、追い口を入れる本合図をし、追い口の切り込みを開始します。
  6. 追い口の切り始めから伐倒まで:追い口をある程度切り込んだら、幹径の10分の1のつるを残すようにしながら、ロープを引き、必要に応じ追加的な追い口の切り込み、ロープによる牽引を行って木を倒します。
  7. 終了:木が倒れたら、伐倒終了の合図を行います。

伐倒にあたっては、必要に応じ複数の楔の使用など追加的な措置を講じ、より安全で確実な方法での対応を心がけるようにします。作業中は学生や市民等の通行者が作業区域に入らないよう誘導し、必要に応じてその表示をすることも大切です。


註:左の図は「受け口」、「追い口」と「つる」の位置関係です。

  1. 受け口は対象木を倒す方向に作り、水平切りと斜め切りを入れます。水平切りは幹の直径に対して4分の1から3分の1の深さまで入れ、斜め切りは30度から45どの角度で入れ、水平切りと斜め切りの会う線は奇麗に一致しなければなりません。この線を会合線とよびます。
  2. 追い口は受け口の高さの3分の2くらいの位置で入れ、会合線と平行になるように、つるを幹の直径の10分の1を残す様なつもりで切り進みます。並行でないと厚くつるが残った方向に木が倒れます。
  3. 受け口・追い口をしっかりとルール通りに入れることが樹木の伐採プロセスの第一歩です。