旧門衛所と職員集会所


旧門衛所:国登録有形文化財

 

昭和6(1931)清水組施行により完成。木造平屋建て。建築面積は52㎡。昭和42年正門横に現在の守衛所が建てられるまで守衛所であった建物。以前は、この守衛所の他に正門等主要な出入り口には小さな門番所が置かれていた。

 

昭和65月に東京商科大学の国立移転式が行われている。当時の国立について一橋新聞は以下のように伝えている。「国立学園の現状を概括するならば次のようになる。面積106万坪、人口850人、住宅120軒、商店21軒、カフェ−と飲食店10軒、撞球場と麻雀クラブ4軒、他に音楽学校と小学校がある。風呂屋のないのも不便の一つに数えられている。宣伝だといわれる国立デパートと栄華殿堂電気館の建設の棒杭だけが立ちっぱなしになってゐる。」

 

この建物は、現在消防器具置き場として使用されていて、ポンプ車、絡車、消火ホースが置かれている。また、この建物は特色ある景観を構成しているということから、日本建築学会より保存に値する建物として選定されている。


職員集会所


職員集会所は大学教職員の福利厚生、レクリエーション施設として、昭和9(1934)3月に竣工した。木造平屋建、和洋折衷の建物で、写真は正面及び晩秋の落日に照らされる建物の様子を撮ったものである。集会所には和室2間、大広間、食堂、娯楽室各一室に厨房設備があり、会議場などにも広く利用されていた。集会所の開設当時は教職員に軽食を提供する施設があり、当時の一橋新聞は、「消費組合食堂部と競合するため、集会所で提供する食餌は50銭以上のランチのみに限るとの協定が結ばれた。」と記している。なお、中庭には日本庭園があるが、そこには庭石が一つも無いことから、「無石園」ともよばれている。最近は老朽化が進み、植樹会も定例作業の折には使用していたが、現在は使用することができない。東京商科大学時代からの歴史をとどめる建物として、できれば残してゆきたい建物である。

 

職員集会所は老朽化のため、残念ながら2019年には閉鎖され、2021年3月には完全に取り壊され撤去されました。